一言両断

就活終了し、脱力気味の大学4年生です。

日本の電機の未来を考える

昨日のシャープの決算発表で、最終赤字5453億円と発表されました。
 
パナソニックも7542億円の赤字、ソニーは最終黒字こそ達成したものの、エレクトロニクス5分野の赤字を金融などの他業種で埋めた結果となり、日本の電機業界の不調を物語る結果になりました。
 
昨日深夜のNHKの「時事公論」という短い番組でこれら日本の電機業界についてのニュースが取り上げられていました。大変わかりやすくまとめられていたので、それらを踏まえつつ、私なりに考えたことを述べてみようと思います。
 

f:id:sodawsky:20130516163817j:plain

 
日本の電機業界は伝統的に「垂直統合モデル」による自前主義を貫いていました。
 
商品の企画、部品の製造・組立、販売までを自社で一括して取り組むモデルです。
 
例えばパネルの生産で有名な亀山工場など、シャープは部品供給を自社で行い、そこに大型の投資をしました。
 
世界中でテレビが売れればこうしたモデルは成り立ちますが、テレビの需要の低下とともに工場の稼働率も低下します。多額の投資をしたのに最終製品のテレビが売れない。採算の合わなくなったシャープは巨額の赤字を抱えてしまいました。
 
一方iPhoneで世界の主役となったアップルなどの海外の企業のモデルは「水平分業型」と呼ばれています。
 
部品を世界中から安く調達し、自社はコンセプトだけを規定して組立まで海外の企業に委託してしまう。というやり方です。
 
時論公論では日本の電機業界の反省点として
  • 自前主義からの脱却ができなかったこと
  • 顧客目線の喪失
の2つを掲げていました。
 
シャープは「自前のテレビ」にこだわりすぎていたのではないか?消費者の需要とかけ離れた品質重視の高額なテレビが海外モデルの安価なテレビに負けた結果ではないか、ということです。
 
しかし私は安易に自前主義にNOをつきつけるのはいかがなものか、とも思います。
 
確かに経営や財務面では稼働率の悪い不採算工場は邪魔な存在でしかないかもしれませんが、亀山工場はいま、シャープの屋台骨を支える「IGZOパネル」を生産しています。
 
部品の製造や組立にこだわる姿勢は長期的に見れば企業のイノベーションにつながるのではないか。と思うのです。
 
アップルは確かに水平分業モデルで相当儲けましたが、現在はその水平分業モデルによって苦境に立たされているように見えます。
 
なぜなら、こうしたモデルに求められるのは、常に刺激的な製品コンセプトを消費者に提供し続けることだからです。スティーブ・ジョブズのもとで生まれたiPhoneの製品コンセプトは世界中を驚かせましたが、現在のアップルには「その次」を生み出す力があるのか?それが問われています。
 
刺激的な製品コンセプト...これが問われるのは日本企業も同じことです。
 
魅力的な商品を企画・開発できなければ、「垂直統合」であろうが「水平分業」であろうが苦しむのは同じことだと思います。
 
ではいかに、世界中の多様な消費者に対して驚きを提供することができるか?
 
ここでヒントになるのが顧客目線のものづくりです。
 
そして、パナソニックが復活に向けて興味深い開発を進めていることが時論公論で紹介されていました。
 
それはユーザの用途に応じた製品開発です。
 
法人向けのPCでは、使う現場に応じて仕様を変えた様々なPCが活躍しています。
 
 
こうした「多品種少量」なものづくりこそ、これからの鍵になってくるのではないか、と私は考えました。
 
顧客目線のものづくりは、本来日本企業が得意とするところです。
 
特に日本の中小企業、町工場では顧客に応じた多品種少量のものづくりが現在も行われています。
 
多様なニーズに多様な製品群で応えていく
 
これこそこれからの日本の電機業界に必要なことではないかと思います。
 
実現は簡単ではないでしょうが、一般消費者向けにも使い方に応じた多様な性能を持ったテレビやスマホが登場すれば、市場は活性化するのではないか。と思いました。
 
特に日本のスマホは「全部入り」をうたってどれも同じようなものが多いですから...
 
長々と書きましたが、これで終わります。